学年別分散登校における校長挨拶

 

令和2年6月8日  

学年別分散登校挨拶

 

高知工業高等専門学校長    

井瀬 潔   

 

 みなさん、おはようございます。

 

 校長からみなさんに話ができるのは、前回は、5月11日の遠隔授業の開始のときに、始業式の挨拶という形で、文章によるメッセージでした。

 

 今日は、声による挨拶です。早く、みなさんの前で話ができる日を望んでいます。

 

 遠隔授業の開始の挨拶でみなさんに話をした中に、「今後、政府、周辺自治体の判断により、十分に安全が確認されれば対面の授業をしようと思います。それまで、遠隔授業に取り組んでください。」とお話ししました。

 

 今日から、学年別の分散登校により対面の授業を始めます。これまで、遠隔授業を頑張ってくれてありがとうございます。

 

 みなさんは対面授業を待ちかねたかと思います。長く待ってもらいましたので、期待とともに不安もあると思います。学習面でも生活面でも、不安や困難は何でも言ってきてください。

 

 また、遠隔授業の開始の挨拶で、「高専の教育は、頭と手を使って、理論と技術の基礎を身につける教育です。」と話しました。この対面授業では、遠隔授業では難しかった実験・実習を主に行いますが、座学の授業も対面授業を入れていきます。

 

 文章にするのが難しかった質問もできます。ぜひたくさん質問してください。

 

 話は変わりますが、我々は、1万人の町でも、100万人の都市でも、1億人の国家でも、見ず知らずの人と一緒に暮らしています。そんなことができるのはなぜだと思いますか。それは、我々は知らない同士でも同じことを妄想することができるからのようです。我々は架空の物事について語る能力を獲得したからのようです。

 

 柔軟な言語をもって集団で行動できるようになり、大勢で協力することもできるようになったからだというのです。国家、法律、貨幣、宗教という想像上の秩序が成立するのも、この能力によると言っています。

 

 妄想を共有できる人間という動物は、こういう新型コロナウイルス感染症が出たとき、いい対応も悪い対応もいろいろ取れるということです。自分の経験を他の人と分かち合えることもできるし、一人の想像を他の人にも伝搬でき、信じさせることもできます。治療法を伝えることもできるし、デマを拡散することもできます。

 

 人とはそういうものだと認識した上で、心がけることは、「感染に対して自分が気を付けることが、他人のためにもなり、他人が安全になることで、自分の安全も強固になる」という考えを“意識して”行動することだと思います。

 

 自分ができる予防はしっかりやります。手洗い、咳エチケット、3つの密を避ける、運動・食事・休養・睡眠の調和のとれた生活を続ける、まめに換気する、毎日の健康観察とその記録、などです。

 

 また、この“感染症”の怖さは、病気が不安を呼び、不安が差別を生み、差別が更なる病気の拡散につながることです。差別や偏見のもととなる「不安」を解消するために、公的機関が提供する情報を得ることや、悪い情報ばかりに目を向けないこと、そして差別的な言動に同調しないことが大切です。

 

 私たち一人一人が心掛けて行動しましょう。

 

 それでは最後にみなさんにお願いです。今日から対面授業です。体をだんだん慣らしていってください。

  2020/06/08   教務係